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『プロローグ』side筝羽
「キャァーッ!」
私は暗闇の中、悲鳴をあげた。
私しかいないはずの部屋に何かが居ると恐怖が伝えている。
暗くて分からないが、何かが私を掴む。掴んでそのまま倒れ込み押さえつけられた。
そして、急に首筋に圧が掛かると、息ができない苦しさに襲われた。首を絞めつけられているのは明白であり、声も出せず、息もできない。
聞こえてくるのはキーンッという耳鳴りと何者かの荒い息遣いだった。
必死に抵抗する。
命の危機だと咄嗟に頭が判断していた。
月明かりで見えた、私の記憶には、私の上に馬乗り状態の全身黒ずくめの男と、私の首を絞める腕、服を引きちぎられ全身を弄られる感覚。
それは数分もなかったのかもしれない、もしかしたらもっともっと長い時間だったのかもしれない。
脳の酸素が欠乏し、頭がフワフワしてもう何が起きているのか、何をされているのか、全てがどうでもいい感覚になっている。
──……私の意識はそこで途切れた。
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