Good kids like murder

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Good kids like murder

「見て!母さん!ほら!」 僕はクライヴ。今はまだ一人っ子だけれど、もうすぐ赤ちゃんが産まれるんだ。 「待ちなさい、クライヴ…もう…」 また動物を殺したのね…。 「そうだよ!すこいでしょ!今日は上出来だと思うんだけどなぁ…!」 そう言うと、母さんはニコッと微笑んで俺を抱きしめた。 母さんはある組織の殺し屋だ。とっても優しくてとっても強い。父さんも優しくて強くてかっこいい殺し屋。俺はこの2人が大好きなんだ。 「う〜ん…確かに凄いけれど、母さんはね?クライヴの凄さをいい方にしていきたいと思っているの。」 「いい方って…?」 僕が母さんの顔を見つめると母さんは再び話し始めた。 「例えば、弱い人を虐めている人がいます。そうしたらクライヴはどうする?」 僕は少し考えた。 弱い人を虐める?そんな事…世の中弱肉強食なんだから仕方ないんじゃないかなぁ…?でも、母さんは人は虐めちゃダメって言うし…。 「うーん、助…ける?」 「そう!だからね。クライヴは困ってる人は助けてあげるの。そして、弱いもの虐めする人はクライヴの凄さでやっつけちゃうの!どう?」 弱い奴を助ける…そうすれば母さんに褒められる…。ついでに凄いことも出来ちゃう! 「うん!僕そうする!」 「ふふっ…クライヴは偉い子だね。さぁ、そろそろ暗くなるからお家へ帰ろう。」 僕は母さんと手を繋いでお家へ帰った。 手を握ったのはこれが最後。 そして、深夜━━━ 「んぅ…?」 ベッドの横の時計を見ると、深夜2時頃だった。 深夜なのに、リビングが光っている。 どうしたんだろう?父さんと母さんはまだ起きてるの? 僕はベッドから降りてドアの近くまで行った。 すると、下からほんの少しだけ声が聞こえる。 「もう……ない…んだ。……赤ちゃんは……。」 「……よッ…!……のに……!!」 気になって、僕はリビングへ向かった。 「父さん?母さん?まだ起きているの?」 すると父さんと母さんは体をビクッとさせて俺を泣きながら見ていた。 「クライヴ…まだ起きてたの…?」 「リビングが光ってたから…それに話し声が…」 父さんと母さんは一瞬見つめ合って黙ってしまった。 それからすぐに、 「もう…ここは危険なの。組織の人間がここまで迫ってきてる…。だから今のうちに逃げるの。」 逃げる?組織から?なんで…。 それよりも… 「じゃあ赤ちゃんのお話は?」 僕がそう聞くと母さんは声を上げて泣き出した。 「悪いが…赤ちゃんは諦めてくれないか…クライヴ…。ごめんな…本当にごめんな…クライヴ…ッ!」 父さんは母さんを抱きしめて泣いた。 父さんと母さんが何をしたのかは分からない。 でも僕は2人を攻めることが出来ないので、2人に「大丈夫だよ」と抱きついた。 しばらく経って、母さんが身支度を始めた。 持てるお金と、最低限の着替え、武器に写真。 父さんも部屋のあちこちを漁り出して必要な物だけ持った。 それから直ぐに家を出た。 深夜3時。 僕は何処に向かうのか分からなかったが、とりあえず父さんと母さんに着いて行った。 「急いで…!奴らが来る前に…逃げるの…遠くへ!!」 あてもなく僕らは走り続けた。 しばらくすると、豪雨が降ってきた。 視界が妨げられ、中々前に進めないがそれでも僕らは進み続けた。 「父さん…!僕達何処へ行くの!?」 何回も何回も聞くが、それでも 「大丈夫…!大丈夫だから、今はただ前を見て走り続けるんだ…!大丈夫だから!!」 というような回答しかない。 すると、後ろから馬車が走ってきた。 馬車は僕らの道を妨げるように、目の前で止まった。そして、その馬車から一人の男が降りてくる。 「やぁやぁ、レバートリー御一家。家族揃ってこんな時間にお出かけかい?」 「ベルモンド…お前!!」 父さんは獣のような怒りの眼差しを降りてきた男に向ける。 すると、母さんが僕を必死に抱きしめて 「大丈夫…大丈夫…心配しないでね。父さんと母さんはずっと一緒だからね。大丈夫だからね。」 と震えながら言い続けた。 「なんだよ…みんな揃って僕を睨みつけてさ。僕がそんなに憎らしいかい…?」 すると男も静かに獣のような眼差しを僕らに向ける。 その瞬間ゾッとした。 全身から冷や汗が出てくる。そしてそれは雨と混じって体中を流れる。 こんなに怖いと思ったのは産まれてから初めてだった。 僕より大きい熊を前にしても僕は怯まなかったのに、どうして…? この男は何かが違う。 人間の形をした化け物だ。 「さぁ。約束通り、子供は貰おうか。」 「嫌よッ!!!どうせろくに育てもしないくせに…!!この子は貴方の子供じゃないっ!!」 母さんが必死に叫ぶ。 男はこちらに向かって歩いてくる。 母さんはより一層強く僕を抱きしめた。 「さぁ、子供をよこせ。」 ちょっと待てよ。 このまま僕が連れていかれても、殺すとは言ってない。 「お兄さん、もし僕を連れていったとして、母さんのお腹にいる赤ちゃんと母さんと父さんは殺さずにおいてくれるのなら僕を連れて行ってもいいってのはどうかな。悪くはないと思うんだけど。」 「ほう…?」 僕は真剣な眼差しで男を見つめた。 男は少し納得しているようだった。 「そうだな…。お前が絶対にこちらへ来るというのであれば…考えてやらんこともない。」 「それじゃあ決まりだね。この約束は絶対だよ。」 僕は母さんを押しのけて男の元へ歩いた。 本当は嫌だった。 ずっと母さんと父さんと一緒にいたいし、勝ち目がないなら皆で死んで、一生を終わらせたい。 あぁ…。母さん…父さん…。 ごめんね。 「母さん…父さん…赤ちゃんが産まれたら、僕にも見せてね。待ってるから。」 後ろから母さんと父さんが 「行かないで、行かないで」と泣いている。 俺は苦しいこの気持ちを抑えながら男の手を取り、馬車へ乗った。
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