どうしよう。

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どうしよう。

   俺はタバコを灰皿に押し付けて捻り消し、ベッドを降りた。  眠っているあんなにタオルケットを掛ける。  次はアツシの番だ。  女を寝取って悦に入る、寝取られた相手を蔑むことで自分の立場の優位性をを味わう男。  仮定の話だが、アツシのあんなとのメッセージのやりとりの中で、少しでもあんなのことを気遣うような、あんなへの愛が見えるような部分があったとしたら、俺はもっと悩み苦しんだのかも知れない。大学生の俺よりも、世間を知って金も稼いでいる男と付き合う方があんなにとっては良いんじゃないかって。  だが、アツシ本人がどう思っているのかは解らないが、徹頭徹尾あんなの心の隙をついて体を奪い、更に弱みを握って心も体も自由にしようというゲスな行動で一貫してくれているおかげで、俺はアツシに対しては破壊衝動をためらう罪悪感を感じる必要が無い。  俺は服を着た。上は黒の長袖Tシャツ、下はカーキの迷彩柄のカーゴパンツ。  ベッドサイドの間接照明でメモを書き、ローテ―ブルの上に置く。  メモの上にあんなの部屋の鍵を置いた。  あんなのトートバッグからあんなのスマホを取り出し、ロックを外す。  メッセージアプリを確認すると、案の定美容室LAZYからのメッセージが届いている。  『ねえ、返事して』  『彼氏ふった?』  『返事はよ』  『あーあ、ヒマだから昨日の思い出を見返そうかな』  添付ファイルも付いている。  『やべ、もうギンギン』  『はよ返事』  俺はメッセージを返す。  『やっと終わった。別れた』  ピコン  『えーマジで? マジ別れたん?』  『マジ。でも、アツシさんと付き合うのもどうかなって悩む』  ピコン  『何言ってんの、あんな。俺のこと忘れられるの?』    『頑張って忘れる努力する』  ピコン    『あんなはあれだけ俺にぞっこんだったじゃん。せめて最後に一回逢おうよ』  『最後だよ』  ピコン  『最後だけど最高にしよ』  『バカ。じゃあうちの近くの公園前で待ってて』  ピコン  『りょ』  さて、釣れた。  一応あんなのスマホは念のためバイブ機能をoffにし、電源を切ってトートバッグに戻す。できたら朝まではあんなに眠っていてほしい。俺のあんなへの情がそうさせた。  持ってくもの。財布、部屋の鍵。俺のスマホ。  あと軍手とガムテ。  一応ペンチと結索バンドも持ってくか。  ウエストポーチに入れ、腰に付ける。  そして黒のキャップを被り、不織布マスクを着ける。  あっと、一応Dパックも持っていく。  時間は夜10時前だ。  思ったより早いな。  あれだけあんなに対して衝動をぶつけるために動いたのに疲れを感じてない。  この冷え切った破壊衝動の成せる業なんだろうか。  部屋の扉をそーっと開ける。  部屋の中、俺のベッドではまだあんなが眠っている。  これであんなと二人で過ごす時間は最後だろう。  そんな、まだ俺の中にほんの少し残っていた過去に対する追憶を、俺はそーっと扉を閉め、鍵もそーっと掛けることで断ち切った。    あんなのマンション近くの公園に行く前に、途中のコンビニで缶ビールの濃い奴と、蜂蜜2本、念のため単1乾電池とガムテも買ってDパックに入れる。  あんなのマンションの近くの公園前に、エルグランドがエンジンを掛けたまま、低音を響かせて止まっている。  近所迷惑を考えない奴だ。  車中の運転席では男がスマホをいじっていて、スマホのバックライトに照らされた顔は、アツシだ。  あんなのスマホにメッセージを送ってるのかも知れない。  辺りに人は歩いていない。  俺は公園の中の暗がりからそーっと車に近づき、アツシの頸動脈を『摘まんだ』。  20秒程『摘まんで』いると、アツシはフラーっといじっていたスマホを落とし、ヘッドレストに倒れ込んで気絶した。  俺はかなり小さい頃から、何かを『摘まむ』ことができた。  本当に『摘まむ』程度の力で、物に力を加えられる。  小さい頃は自分の腕やらを『摘み』、つねってみたりした。自分の腕の腱を摘まむと指が変な動きをしたりするので、友達に見せて驚かせたりした。  この力で何か大きく人生が変わったとかそういったことはない、ささやかな力。今でも使うのはいたずら程度で、離れたところからあんなの敏感なところをちょっと『摘まんで』驚かせたりした程度だ。  さっきあんなを抱いた時にあんなの敏感な部分に久々に使ってみて、アツシに対しては不意を突いて『摘まむ』ことで優位にことを進められると思いついた。  俺は運転席のドアを開け、気絶しているアツシをガムテで足首と膝をグルグル巻きにする。  運転席のシートを倒す。  その後一旦後部座席に移り、シートをフラットにして、アツシを後部座席に引っ張り出し、口をガムテでグルグル巻き、両手も後ろで交差させ手首でグルグル巻き。最後に手首の部分から胴体をグルグル巻き。  念のため両手の親指も結索バンドで留める。    ドアを閉めて運転席のシートを起こし、俺の地元の友人に電話をし、そして俺の実家に電話する。遅い時間だがまだ親が起きていたので、友人が俺の車を取りに来るので鍵を俺の車に付けといて、と伝える。  いよいよ出発だ。  都内の道は不案内だが、夜で空いているので何とかなる。    下道で2時間程走り、とある山中に着く。  時間より早く来てくれてた俺の友人2人に礼を言う。  俺のジムニーを渡した友人2人は自分たちの車で一旦ファミレスにでもいくのだろうか。また3時間後に来ることになっている。  伝えた通り旧道の峠道と林道を通って移動するようだ。  こっちの行先はエルグランドでは行けない場所だ。  おっきい荷物をジムニーの荷台に乗せ換える。  荷物の意識が戻っていたようで、むふー、むふー言っているので、もう一度頸動脈を『摘まむ』と、10秒ほどで静かになった。  エルグランドの床に落ちた荷物のスマホもウエストポーチに入れ持っていく。  さてさて、俺のジムニー、相変わらず調子いいな。  思わず昔を思い出して鼻歌でBad reputationを歌ってしまう。  「ふふふふふーふふ、ふーふふーふ」  1時間弱走り、目的地に着いた。  車を止めると何かの鳥の鳴き声や木の葉がすれる音、虫の鳴き声など諸々の音がする。    とりあえず一番大きい荷物を荷台から出す。  荷物はまた意識が戻ったようで、むふーむふーと言いながら体をぐにぐに動かしている。  とりあえず荷物を斜面に蹴り落とす。  どこまで転がるか。  転がりついたところでいいだろう。  後はDパックを背負い、ジムニーに積んであったシャベルと鉈、そして大型の懐中電灯を持って斜面を荷物が転がりついたところまで降りる。  荷物は10m程斜面を下った木の根元に引っ掛かっていた。  荷物の上半身を起こして木の幹に立てかけ、ガムテでぐるぐる巻き。途中のコンビニで追加で買っておいて良かった。  さて、荷物の口からガムテをはがしてやるか。  ベリベリッとガムテを剥がしていく。最後は頭髪も一緒にガムテにくっついて結構抜けた。美容師自慢の髪が台無しだな。  俺は足元に懐中電灯を置き、光が荷物に当たるようにする。  「おい、こんなことしてタダで済むと思ってんのか!」  荷物がありったけの大声を出して叫んだ。山の中だから良く響く、訳ではなく山の木々に吸い込まれるようにそこまでは響かない。    「タダで済まないとしたら、どう済まないんだ?」  「帰ったらお前を訴えてやる! ふざけんな!」  「帰れると思ってんの?」  「今のうちに俺を解放しろ!」  「だから帰れると思ってんの?」  「当たり前だろう! 俺がいなくなったら騒ぐ奴が大勢いるぞ! すぐに見つかる!」  「え、何、他力本願なの?」  「うるせえっ!こんな縛られてなきゃお前なんざ一発だ!」  「へえ。俺が誰かはわかってるんだ?」  「あんなの彼氏だろ! 俺にあんなを取られたからって情けない野郎だ! そんなだからあんなも愛想つかすんだよ、ざまーみろ!」  「そうだな、俺はあんなに見限られたのかもな」  「お前は俺に男として負けたんだよ! この負け犬が! わかったら早くこれをほどけ!」  「なあ、何でさっきからそんなに威勢よく吠えられるんだ? お前その自信どこから来てるんだ? すげー不思議なんだよ」  「お前が俺より男として劣ってるからだよ! 女もモノにできない粗チン野郎が笑わせんな」  「なるほどね。要するにお前って女をコレクションした奴が偉いって思ってるんだな」  「当たり前だろうが! 女の体掴めない粗チン野郎!」  「なあ、お前って結婚してんの?」  「お前には関係ないだろうが!」  「あんな以外に付き合ってる奴いんの?」  「だから関係ねーって言ってんだろうが!」  俺はウエストポーチに入れておいたアツシのスマホを取り出した。   「お前のスマホ、さっきからえらくメッセ来てんぞ。えーっと、えみちゃん? あとれいなちゃんか。誰、これ」  「お前、勝手に人のスマホいじってんじゃねーよ!」  「あ、そうだそうだ、一応お前の自慢の女コレクションのデータ見せて貰おうかなっと。どれどれ」  俺は女性の名前で分けられたフォルダを適当に開き、動画、写真のデータを確認する。おうおう、性癖さらして女に強要して悦に入ってんなあ。  「だから勝手にいじんな! 個人情報の侵害だぞ!」    「お前、けっこうマメなんだな。女ごとにフォルダ分けして紐付けてんだ、へー。なあ、このお前と子供と一緒に写ってる女誰?」  「誰だっていいだろ! お前にゃ関係ねー!」  「えーっと、ユウコさんね。なるほど。ユウコさん、お前がこんだけ他の女と付き合ってんの知ってんの? 他の女とお前がやってる写真、送っていい?」  「お前ふざけんな! ぜってーコロスぞ!」  「おっと、とりあえずあんなのデータは全部消させてもらうね」  「だからふざけんな! フラれたからって逆恨みしてんじゃねーよ!」  「結構枚数あるなー、めんどくさいから一括で消したいんで暗証番号教えてもらっていい?」  「だから勝手にイジんなって言ってるだろ、この粗チン野郎がよ!」  「まいったな、素直に教えてくれれば俺も疲れなくて済むんだが」  「お前のことなんか知るかよ! カスが!」  何だろうこいつ、本当に頭まで性器でできてんじゃないのかってくらい意味がわからん奴だ。  よく生きてたな今まで。  ま、いいか。  俺は思い切りシャベルの平をアツシの頭に打ちおろした。  ゴッ!  「アツシくーん、もういっちょ行っとく?」  ゴッ!   「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!   「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!   「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!  「やめろ、粗チン野郎!」  「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!  「やめろ!」  「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!  「やめろつってんだろ!」  「もういっちょ行っとく?」  ゴッ!  「アツシくん、強情だねー、凄いわ。髪の毛ズルズルになってんじゃん」  俺は今までシャベルで殴りつけた頭皮が剥がれてきた部分を引っ張った。  ベロンと頭皮が剥ける。まるで栗のイガが割れたようで、割れたところから白っぽい骨らしきものが見えている。  「凄いわ。これ、パーマ液とか垂らしたら沁みるな。何だっけ、西遊記のカッパみてーだな」  「てめえ、覚えてろよ……絶対許さねえからな……」  「アツシくんさあ、自分の生きざまに後悔とかない訳? 今まで女寝取って追い込まれたりしたことねーの?」  「そんなヘマするかよ! 店の客でスキがある女しか狙わねーからな、そんな誰彼構わずじゃね-んだよ、タコが!」  「なるほどねえ、そうなんだ。女って髪を優しく扱われるのが好きだからねえ。アツシくんにとっては天職みたいなモンなんだねぇ」  あんなみたいな。俺は心の中で優しく丁寧にあんなにそう言った。  「ああ、そうだよ! それでお前みたいな粗チン野郎に満足してない女に声かけりゃすぐだよ! わかったら早く俺を解放しろ!」  「そっか。アツシくんはやっぱり元から何とかしないとダメだな」  俺は倒木を拾って来ると、アツシの頸動脈をまた『摘まんだ』。  アツシはまた10秒ほどで意識を失った。    アツシの股間を開かせたいんだが、足をそのままにしとくと邪魔だからな。  アツシの足首の下に高さ20㎝くらいの倒木を敷き、俺は思い切りジャンプしてアツシの両膝を踏みつけた。   バキッ  「ガッ」 アツシが痛みで意識を取り戻したようだ。  念のためもう一度。  バキッ  「ガッ」  念のためもう一度。  バキッ  「グウウウッ……」  アツシの両膝は完全に逆方向にくの字に曲がった。  アツシは顔をしかめて痛みをこらえている。  その顔は剥がれた頭皮から流れる血で染まっている。   「アツシくん、手元狂ったらごめんね」  俺はそう言ってアツシの膝に巻いたガムテを、鉈で斬る。  ドガッ  「グウッ」    ドガッ  「グウッ」  ドガッ  「グウッ」    膝のガムテがやっと切れた。  膝の間の肉に、何か所か手元がズレて鉈が食い込んでしまったが、何とかガムテは取れるだろう。  べりべりっ  膝のささくれだった肉も少し剥げてしまった。  次は足首のガムテ。  ドガッ  「グウッ」    ドガッ  「グウッ」  ドガッ  「グウッ」  こちらもどうやら切れた。  アツシの履いていたとんがり皮ローファーからはみ出た素足部分に、やっぱり手元が狂って鉈が食い込み、引き抜いた傷をつけてしまった。けっこう血が流れている。 「アツシくん、少し手元が狂ったけど、何とか足のガムテは取れたんで楽にしてくれよ」    アツシは足を動かそうとしない。  「アツシくん、足広げて」  アツシは足を動かそうとしない。  仕方ない。  俺はアツシの両足首を持って広げようとした。    「ギャアーッ!」  アツシの両足は膝から上は広がらず、俺が持った足首から膝までが真横に広がった。両膝がグニョグニョになっている。  PSとか置き型ゲーム機のアナログコントローラーの、安物みたいな感触。片方の足首を持ってアナログコントローラーのように360°回すと、ゴリゴリグリグリ言う。うん、安物だ。   「アツシくん、膝がグニョグニョ。何か捻じったらちぎれそうだけどちぎってもいいかい?」  「良い訳あるか、この粗チン野郎! ふざけんな!」  アツシは痛みを堪えながら、それだけは声に力を込めて俺を罵倒した。  本当に折れないねえ。大したもんだ。  「アツシくん、足広げて」  アツシは足を広げようとしない。  仕方ない。  とりあえずズボンを破る。  さっき鉈で間違って切りつけて破れた部分から破く。何か所もあるから破きやすい。  バリバリバリ。    ズボンの縫い目が固くてその部分が破れない。  鉈を振り下ろし、ズボンの縫い目部分を断ち切る。  やはり勢い余って腹に鉈が食い込むが、なかなか腹筋が固く、表面の皮を切り裂いただけで済んだ。  「すげーじゃんアツシくん、鍛えてるんだな。これも女を落とすための努力?」  「……テメーには関係ねーだろが……」  さて、アツシがこんな奴になった元凶が露わになった。  切ったズボンの切れ端をまくり上げると、アツシの男根が露出した。  「アツシくんの自信の元はこれだな。何だ、思ったより小さいってゆーか、しぼんでんじゃん」  「……この状況でおっ勃てるなんて無理にきまってんだろ……」  アツシがようやくしおらしくなってきた。  「アツシくん、君がずっと偉そうにしてたのって結局これのおかげで女とやりまくってたからだろ? まあそんな立派なモンかこれじゃわかんねーけどさ。  なあ、竿だけなくなってタマ残るのと両方無くなるのとどっちがいい?」  「お前、ふざけんなよ! そんなモン選べるわけねーだろうが……」  「竿無くなってタマだけ残ったら、精液だけは作れるわけじゃん? だったらムラムラするのは残る訳じゃん? でも竿が無いとさ、気持ちよく出せないよな? だからアツシくんにはそうしてもらおうと思ってたんだ。性欲強いのが罰になるからさ」  「……」  「まあでも今のアツシくん見てたら可哀そうかなって思ってさ」  「……」  「両方取ってやるよ」  「……なあ、悪かったよ。お前の彼女に手を出したのは謝る。だからもう許してくれよ」  「許さない。許せるわけないだろ? お前ユウコが他の男に寝取られて、そいつ許せんの?」  「……」  「俺も別にお前をいたずらに痛めつけようとは思ってなかったんだぜ。だからお前が気づかないうちに切っといてやるから、安心しな」  そう言って俺はまたアツシの頸動脈を『摘まんだ』。  アツシはまた10秒ほどで気絶した。  さっき足首の下に置いた倒木の端をアツシの股間に持っていき、その上に男性器を乗せた。  鉈だと切り切れないだろうから、シャベルを使う。  アツシの腹に沿わせるようにシャベルを振り下ろす。  ダツッ  陰茎は切り落とせたが、陰嚢側の肉が少し残った。  残った肉は鉈で切り落とした。  睾丸が陰嚢からにゅるりとはみ出て落ちてしまったが、まあいい。  アツシの好きな陰嚢舐めはもうしてもらえないってだけだ。  俺は切り落とした陰茎を拾い、Dパックから缶ビールを取り出し、陰茎を洗った。  そしてまだ気絶しているアツシの口を開け、陰茎を入れた。  顔が下向きになると陰茎が出てしまうので、顔を上に向ける。  さっき陰嚢からはみでて地面に落ちた睾丸も二つ、口に入れる。  好きなプレイの元になる部分だ。そうしてやらないと、さっき確認したアツシのコレクションデータの中にあったようにアツシが罵倒するかもしれないからな、やってくれない女にしたように。  しかしチンコの大きさで女が喜ぶって思い込み、どっから来てるんだろ?  女性が顔ゆがめてるのって快感でなのか? 苦痛じゃねえのかな?  まあどっちみちアツシには2度と縁のないことになったわけだ。    自分の陰茎を口に入れたアツシの顔を、アツシのスマホで撮影した。  画像を確認するとよく撮れている。  アツシのスマホに登録されている、さっき画像フォルダがあった女性全員をメッセージアプリでグループ化する。あんなは入れるが、ユウコは入れないでおいた。  そして今撮ったばかりの画像を添付し、メッセージを入力した。  『ごめん、みんなに咥えてもらったモノ、俺もどんな味か確かめようと思って咥えたら、意識飛んだわ。ゲロマズ。我慢してやってくれてありがとね』  送信。  「おーい、アツシくーん、起きろー。もうすぐ君宛にメッセすげー来るぞー」  アツシの意識は戻らない。  まあいいか。  アツシにとっては幸せだ。  意識が無い方が。これも俺の慈悲かな。あんなのスマホ見た直後だったら叩き起こしてるだろうな。  俺はDパックから蜂蜜を取り出し、アツシにかける。  「アツシくーん、昔は蜂蜜って万能の薬だったらしいよー。怪我したところに塗っといてあげるからねー、感謝しろよー」  蜂蜜を全部かけた。  ブンブンとどこにいたのかってくらい虫が集まってきつつある。  缶ビールも残っているのは全部アツシにかける。  「かんぱーい」  蜂蜜と空き缶をDパックにしまい、鉈とシャベル、懐中電灯を持つ。  アツシのスマホはその辺りに放った。  「じゃあアツシくん、さよなら」  色んな虫の羽音がする。  俺は虫が苦手だ。服に着いた虫を払い、急いで車に戻った。  さて、戻るか。  よく考えたらあんなと激しい運動をしてからのこれ。  一仕事終わったら急に体がだるくなってきた。  だるさと眠気に何とか耐え、俺は来た道を戻った。  その途中で俺は眠気に負け、崖から車ごと転落した。  夢の中の出来事だったら良かったな。  ジムニーの天井や壁ににぶつかりながらそう思った。 ※この作品は、ここに書かれている暴力行為や女性に対する乱暴な行為、過度な異性   交遊を推奨する意図はございません。ご了承下さい。
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