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勢いに任せ、毒という毒を吐き出した後、私は肩で息をしながら隣に座るアンを見る。
私の視線とアンの視線がぶつかったーーその瞬間、私はアンに優しく抱き締められた。
まるで、壊れ物を扱う様に、とても優しく。
咄嗟のことに、理解が全く追い付かない私。
と、アンはそんな私の頭を優しく撫で始めた。
「わかる、わかるよ。よく頑張ったね。何で、皆わかってくれないんだろう。貴女はこんなに特別なのに」
アンの言葉に、今度は私の目から涙が溢れ出る。
(ああ……ここのお店の人は分かってくれるんだわ。私が選ばれた、優秀で素晴らしい人間だって。やっと理解してくれる人達に出逢えたのね、私)
理解者に出逢えるって、なんて素晴らしいことなのかしら。
私が、そう心から感動していると、不意にアンが私の顔を覗き込んできた。
そして、とんでもない言葉を口にする。
「だからね?私達が貴女に……貴女の良さをちゃんと分かってくれる、貴女に相応しい世界をプレゼントしてあげる」
「私に相応しい世界……?!」
アンの薔薇色の唇から発せられる甘い甘い誘惑の言葉。その甘美な響きに、私の心は瞬時に搦め捕られた。
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