case1 長田 真由の場合

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瞬間、目の前に溢れる眩しい光。 私は思わず、ぎゅっと目を瞑る。 そうして、ゆっくり目を開けてみるとーー私は全く知らない場所に立っていた。 見たところ、中世位のヨーロッパに雰囲気がよく似ている。 「随分リアルに作り込んであるわねぇ」 こういう世界観は、正直言って嫌いではない。 取り敢えず、此処がどんな世界か知る為に、私は散歩をしてみることにした。 と、通りの向こう側から、数人の男性達が走ってこちらに向かって来る。 彼らは口々に何かを言っている様だ。 よく耳を澄ませてみるとーー 「見つけましたよ、聖女様!」 「勝手に外出しないでくださいとあれ程言ったではないですか!」 成る程、彼らは『聖女』と呼ばれる人物を探していたらしい。 (聖女様、か。異世界モノの典型ね) そんなことを考えながら、辺りを見回してみる私。 聖女様とやらが一体どんな姿をしているのか、見てやろうと思ったのだ。 すると、聖女を探している男性達の内の1人がこちらに近付いて来る。 そして、私の手を取り、こう告げた。 「全く……。探しましたよ?聖女様」 (えっ?) 再度周囲を見回す私。 だが、周囲には生憎、聖女と呼ばれる様な女性の姿はない。 と、先程の男性が真っ直ぐに私を見つめたまま、訝しげに首を傾げる。 「先程から、一体どうされたのです?聖女様」 その言葉と視線に嘘偽りはない様で。 と、いうことはーー。 「えぇぇ?!」 (まさか、私が聖女様なの?!)
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