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特別扱いされたいとは思っていたけれど、まさか聖女様なんて。
(こんなの思ってもみなかったわ)
動揺を隠せぬままーーそれでも、取り敢えず、迎えに来た男性達に連れられるがまま、王宮へと向かう。
ちなみに、この迎えに来た男性達は聖女を護る騎士で、先程私に話し掛けて来た男性はその隊長の様だ。
では、何故此処に来たばかりの私がこんな事まで知っているのか。
それは……とても不思議な事に、頭に浮かんでくるからだ。
まるで、この世界で生きる為の知識を元から知っていたかの様に、疑問に思った事に対しての答えが、自然に次から次へと浮かんでくるのである。
きっと、あの細長い管で繋がっていた水晶みたいな物の効果なのだろう。
そうして、少し心に余裕が出てきた私は、勝手に外出したのを反省するふりをしながら、そっと町の人々の様子を盗み見てみた。
すると、
「おお、あの方が噂の聖女様!」
「なんとお美しく神々しい!」
「まさに女神の再来だ」
人々が口々に私をそう褒め称えながら、手まで合わせて来るではないか。
(これは……なんて、気持ちいいの!)
今までに感じたことのない満足感と愉悦が全身を駆け巡り、私は思わず笑みを漏らした。
(この快感、堪らないわ。)
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