case1 長田 真由の場合

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特別扱いされたいとは思っていたけれど、まさか聖女様なんて。 (こんなの思ってもみなかったわ) 動揺を隠せぬままーーそれでも、取り敢えず、迎えに来た男性達に連れられるがまま、王宮へと向かう。 ちなみに、この迎えに来た男性達は聖女を護る騎士で、先程私に話し掛けて来た男性はその隊長の様だ。 では、何故此処に来たばかりの私がこんな事まで知っているのか。 それは……とても不思議な事に、頭に浮かんでくるからだ。 まるで、この世界で生きる為の知識を元から知っていたかの様に、疑問に思った事に対しての答えが、自然に次から次へと浮かんでくるのである。 きっと、あの細長い管で繋がっていた水晶みたいな物の効果なのだろう。 そうして、少し心に余裕が出てきた私は、勝手に外出したのを反省するふりをしながら、そっと町の人々の様子を盗み見てみた。 すると、 「おお、あの方が噂の聖女様!」 「なんとお美しく神々しい!」 「まさに女神の再来だ」 人々が口々に私をそう褒め称えながら、手まで合わせて来るではないか。 (これは……なんて、気持ちいいの!) 今までに感じたことのない満足感と愉悦が全身を駆け巡り、私は思わず笑みを漏らした。 (この快感、堪らないわ。)
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