1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
僕のゲームは、平々凡々としている。
どれほど平々凡々か、試しにゲームを起動してみよう。
と、言いたいところだが、残念ながら、このゲームにお試し機能はついていない。ゲームを起動する時はいつだって本番で、当たり前に、僕は1日分歳をとる。そんな訳で、ここでは、ここ1年ほどのプレイデータを基に、大まかな流れを説明しよう。
まず、ゲームを起動すると、目覚まし時計の音が鳴り、僕は目を覚ます。午前7時を知らせる時計の針は、ゆっくりと時を刻んでいく。
起きろ! と叫び続ける目覚まし時計を止めると、選択肢が現れる。
▶️制服に着替える
もう一度寝る
僕は、コントローラーの十字キーの上と下を交互に押しながら、しばらく考える。そして、何度目かの上ボタンを押したところで、今度は○ボタンを押す。
ピコンと音がして選択肢が決定されると、僕はベッドから起き上がる。そうして、大きく伸びをすると、ハンガーにかけてある制服に手を伸ばす。
左胸に校章の刺繍が入った真っ白なシャツ。その袖に腕を通し、ボタンを上から2番目まで留める。次にズボンに足を通し、シャツをきっちりその中に収める。ベルトを締めれば、基本装備は完了だ。あ、もちろん、靴下も履く。
鞄をおともにして、部屋を出る。
階下からのいい匂いに誘われて階段を下りると、行き先を示す選択肢が現れる。
▶️リビング
洗面所
玄関
このままリビングに向かってしまいたいほど、廊下にはいい匂いが漂っている。が、ここは我慢して、洗面所へ向かう。
最初のコメントを投稿しよう!