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ラピスは大きな目を見開いて考え込んだ。アンバーはとても真面目な顔をしている。ふざけてはいない。
「……いいことをしているのに、否定されるのは嫌です。友達には正しくあってもほしいです。けど、従わせたいわけじゃありません」
「ふむ。ならばラピスは放っておけばよい」
「兄上!?」
「宿題をやらないも、授業もさぼるも相手の自由だ。その後反省するも、またやるも決めるのはその者自身だ。お前は相手を諫めたのだろう? ならば、やることはやったのだ」
一件落着と話を終わらせようとするアンバーの服の袖をラピスは思わず掴んでいた。兄が言うならそうだろうと思いながらも何か納得できていない自分がいる。そんなラピスを珍しそうに見つめ、アンバーは笑った。
「お前は人の言うことを聞き過ぎるのだ」
「どういうことですか」
「人の言うことばかり聞いていていいことは怒られないことだけだ」
「……わかりません。ヒントが欲しいです」
「そうだな……寄り道でもしてみたらどうだ」
「寄り道はいけないことです」
「ああ。そう思うならやめればいい」
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