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次の日目が覚めると、巡はまだ同じベッドの中にいた。
俺はまた動けなくなる。巡の吐息がおでこにあたっていて、そのたびに前髪がふわりと揺れた。
意識をするなという方が無理だった。朝のせいもあって、下半身が反応している。
「・・・巡?」
おそるおそる呼びかけてみたけれど、ぐっすり眠っているようだった。いつもは俺よりも早起きなのに、珍しいこともあるものだ。
だから、こんなチャンスは、きっともうない。
俺はそっとスウェットの内側に手を入れる。そこはびっくりするくらい硬くなっていた。途中で巡が目を覚ましてしまった時の言い訳を考えながら、すでに濡れ始めた先端を親指でこする。
すぐ終わらせるから。もうちょっとだけ。
思いっきりしごくと音が聞こえてしまいそうでできない。小刻みに指を動かし、敏感なところを必死でこする。
けれど、快感はなかなか高まってくれない。もどかしく、頭の中は焦りでいっぱいだった。
目の前には、きれいな顔をして瞳を閉じている巡。まつげが長く、すっと伸びた鼻筋は朝日を浴びて美しい陰影を作っていた。
「巡、巡・・・」
何度も名前を呼ぶ。それだけで気持ちがたかぶっていった。だんだんと声は甘えるように熱く濡れ、手つきはどんどん遠慮がなくなった。
部屋中に、濡れた皮膚のめくれる音が響く。頭がぼうっとして、全てがどうでもいいと思えた。
顔をあげると、そこには形のよい、巡の唇。
昨夜はこれと、唇を重ねたんだ・・・
男にしてはやや赤みが強く、見ているだけで興奮した。思考のまとまらない頭。俺は最低だ。最低なことをしようとしている。
ごくりと唾をのみ込む。
ゆっくりと顔を近づけ、その赤い下唇を舌で舐めた。巡のまぶたがぴくりと動いたことに、俺はこの時気づいていなかった。
「あ、・・・巡、じゅ、ん」
何度も名前を呼んで、その甘いひびきに酔う。
調子に乗った俺はそのまま唇全体を合わせて、ゆっくりと吸っていった。巡の唇はぺろりとめくれ、わずかに開いたすきまに舌を忍ばせる。
キスなんてはじめてだったし、入れた舌をどう動かせばいいのかなんてわからなかった。けれど夢中で、味をおぼえるように内側をすみずみまで舐めあげていった。
とうとう限界がきて、俺は巡とキスをしたまま自分の手に白濁を吐き出した。
人生で一番気持ちが良くて、忘れられない瞬間だった。
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