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第二話 全裸の少女
「申し訳ありません。道を間違えてしまった様です。引き返します」
運転手の声で私はウトウトした状態から目を覚ましました。
「え?あ、はい」
うっそうと茂った森の一本道をタクシーはユーターンし、今来た道を走り出しました。
料金メータは二二三〇円と表示されています。自宅までのいつもの料金です。
私は心配になって訊きました。
「ここ、どこですか」
すると運転手は首を傾げながら答えました。
「わかりません。ナビも真っ白で」
運転手の手元を見ると、料金メーターの横の画面が真っ白になっているのが見えました。
「え、なんで」
心配そうに聞いた私に、運転手はゆっくりと答えました。
「先程、目の前が一瞬明るく光りましたよね」
「ああ、ちょっとウトウトしてて」
「あ、そうでしたか。辺り一面が一瞬パッと明るく光って目が眩みました。そして気付いたら、こんな森の中に居たんです」
「どうして?」
「それが、ぜんぜん……私もこんなの初めてでして」
タクシーは舗装されていない森の道を進んで行きます。元の道に戻る気配がありません。
運転手は首を傾げながら額に汗をかいているのがわかりました。でもそれはアセリではなく、実際に暑いのだと分かりました。
そう。空気が蒸し暑くなっているのです。
「運転手さん。ちょっと暑くないですか」
「そうですね。今クーラーを入れます」
今は四月の半ば。しかも夜明け前。こんなに蒸し暑くなるなんてありえません。
(なんか変だな)
そんな事を思っていると、運転手が再び「あれ?」と言って、私に言ってきました。
「お客様。一旦車を停めてもいいでしょうか」
「どうしたんですか」
「あの……、子供が……」
前を見ると、一人の子供がこっちを見て手を上げているのが見えました。
タクシーを停めようとしているのは分かりましたが、その姿に私達は驚きました。
全裸です。しかも女の子。
正確には、マスクだけを口に付けていて、あとは一糸まとわぬ姿だったのです。
私は急いで返事をしました。
「そうですね。停めて下さい」
「はい。ありがとうございます」
そしてタクシーは全裸の女の子の前に停まりました。
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