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17歳男子校生 飛び降り自殺
一発目の取材は17歳の男子校生。1週間前、学校の屋上から飛び降りた。
「一発目からなかなかにハードだな。」
俺はつくづく運がないと思った。自殺の取材にはインタビューが必須である。しかし高校生の自殺な場合、知り合いが同級生に限られてしまい、聞き出すのが難しい。苦労しそうな案件だった。
「とりあえず、いじめの線から当たってみるか」
ひとまずネットで情報を集めることにした。ネット上には情報が溢れている。その中から正しそうな情報を取り出し、インタビューにつなげる。近頃の取材の定石である。
まず「男子校生自殺」と検索する。この辺りに出てくる情報は大体眉物である。特に俺と同じような底辺ライターが、その辺にある情報をまとめただけで、ほとんどが想像の範疇を超えていない。それでも学校名ぐらいは絞り込むことができる。
次は各種SNSで同じ学校の生徒を探す。自殺のことについて直接投稿している人はまずいないものの、ツイッターやインスタグラムのストーリーには、それとなく触れている書き込みが見られた。特に彼とあまり交流のなかった人間を探す。取材において第三者の意見ほど信用できるものはない。
探し始めて15分ほどで大方インタビュー出来そうな人が10人ほど見つかった。6人が同じ高校の生徒。3人が大学生。1人だけ大人がいた。
とりあえずダイレクトメッセージを送る。
「佐々木くんの自殺について調べています。返信いただけないでしょうか。内容によっては謝礼もお出しします。」
特にお金に困っていそうな人は、これですぐに話してくれる。先程の10人の中には、援助交際をしていそうな人さえいた。情報は早く集まるだろう。
「謝礼はどれほど貰えますか?」
案の定、二日もしないうちに返信が来た。
「内容にもよりますが、信用のある情報なら最低5000円。記事になりそうな情報には10000円差し上げます。ただし、まず前払金として2000円渡し、情報が正しいと分かり記事にできた後、残りをお支払いいたします。また、直接会うことが条件とさせていただきます。」
俺はいつも通り同じような誘い文句を送る。二日後、その中の1人と会う約束がついた。
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