結婚へのカウントダウン

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「私と妻は、この結婚に賛成できない。雨音にも、そう言ったはずだが?」 「お父さん、それは……!」 なるほど。 雨音は僕が挨拶に行くと言った時に言葉を濁したし、極力日付を遅らせようとしていた。 信頼できないという、僕への感想ではなく、はっきりと反対の意思まで示していたのか。 それを雨音は、僕に黙っていてくれたのだろう。 「ここでそういう話は言わないって……」 「反対していることをこういう場で言わないで、いつ言うんだ」 「だけど!」 「雨音、少しだけ黙ってなさい。私は彼に、話があるから」 雨音の父親は、僕を見る。 睨みつけるような目つきではなく、じっと僕を観察するような目だった。 「村山さん」 「はい」 そこから、雨音の父親による僕への尋問が始まった。 「私たちが、何故あなたと娘の結婚を反対しているか……わかりますか?」 「それは……」 僕は、一通り思いつくことを言った。 雨音が23歳と若すぎること。 僕の会社が小さすぎること。 それに……部下と上司という関係性の時に関係を持ってしまったこと。 それらを一通り話し終えてから、しばらくの間会話がなくなった。 まずい事を言ってしまっただろうか……と雨音に助けを求めたが、雨音は俯いているだけだった。 ようやく雨音の父親が口を開いた時、彼は大きなため息を同時に吐いた。 「村山さん……」 「はい……」 雨音の父親は、心底僕に呆れていることは、その言葉でわかった。 でも……。 「私らはそこまで古い考えではありません」 「……え?」 その理由は、僕が考えているものとは違ったようだった。 だけど……。 「なぜ、雨音は幸せそうではないんですか?」 彼の言葉は、鈍器で頭をぶん殴られる以上の衝撃を、僕に与えた。
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