応報

俺は。

俺はこの三年で『いい男』に生まれ変わった。

切っ掛けは三年前。ある女に振られた。デブで如何にもオタクだった俺は勇気を出して同じ部署の女に告白した。だが、その女は「無理。」の一言で一蹴しやがった。あいつこそ仕事は出来るが地味で他に相手にされないような女のくせに。

それから俺は絶対に見返してやると心に決めて血の滲むような努力をした。その間何度も諦めそうになる時もあったが、あいつが少し仕事が出来るからと上司に可愛がられ可憐(いじら)しく笑う姿を見ては自分を奮い立たせた。

『今日もいつもの所で。』

その結果、今では色んな女から連絡が来るようになった。その中でも社内一の美人と俺は付き合っている。
しかも、外見が良くなると仕事も上手くいった。順風満帆だ。

「そうだ、昨日のデートも投稿しないと。」

SNSを開き『匂わせ』と呼ばれる写真をアップする。

観てるか、地味女。
俺はもうお前の手の届かない所まで来たんだよ。