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部屋に戻って材料をかき集める。光量が十分な業務用ライト、星座をピンホールのようにして並べるアルミ板、それを忠実に空と同じようにまあるくまあるく並べ組み立てる。もっと早く、もっともっと!
できた!
こんな遅くにきっと怒るかな、今すぐ見せたいものがあるんだ何も言わず僕に着いてきて。
びっくりした君は寒さに頬を赤くして自転車の後ろで文句ばかり。うん、ごめん、けどねどうしても見せたくて。
「あーーーーーーーーーー!」
急に叫んだ僕に君は言う。
だから僕は笑っちゃう。
「馬鹿じゃないの、もう」
だってたのしいんだもの、うれしいんだもの、叫び出すくらいにとても愛おしいんだ、全てが。
「ねえ、見せたいものってこれ?」
「うん、そこのスイッチを押してみて」
ハロー、ハロー、
僕がひとりでみつけた流れ星。
君と見たくて、もっともっと振り積もらせたくて、さっきよりもたくさん流しちゃった流れ星。
ねえハロー。
こんなにもたのしくて愛おしい世界に君がいる。
うれしい?ハロー、たのしい!ハロー!
ねえどうかな?僕はとってもたのしい!
君はどう?
「はいはい、ハロー」
たまらなく愛しくさせたものたち全てが僕の目から涙に変わって流れていく。本当なんだ、全部が愛おしくてたまらない。だからこれはまたいつもみたいにすぐ終わっちゃうんだよ。だから少しでも長く君にも見せたくて。
「うん、大丈夫。ちゃんと見えたよ。伝わったよ、たのしいもうれしいもあったよ。見つけるのが上手だね、だからね、大丈夫」
うん、枯れきらない涙はこの世界の愛おしさ。
だからね、また流すよ流れ星。
ねえ、見て見て、ハロー。
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