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9-2. 15
……という事は、俺の他に男がいるってことだ。
情夫なのか金銭だけが絡む仲なのか、いろいろな思いが交錯して
その夜は、ほとんど眠れなかった。
何てふしだらな母親なんだ、子供達が知ったらどうなると思う?
そんな台詞を脳内で何度も反芻してみたが、俺が妻に
実際に言うことはなかった。
良妻賢母を絵に描いたような由利恵がこんな意趣返しのような
ことができるだろうか。
だが無邪気に出来るようなことでもない。
この15年間、俺を許し仕えてきてくれた由利恵を知っているだけに
混乱したものの、直に責めたり離婚を迫る気にはなれなかった。
あれから数日後、元通り夫婦の営みも以前のように再会された。
少しの嫉妬は刺激となり、妻を求めることは止められなかった。
自分さえ子供達を巻き込んで暴露しなければ、妻を責めなければ
何も知らずにいた頃のように暮らせるのか。
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