The Giving Tree おおきな木 

2/22
前へ
/22ページ
次へ
1-2.❧-2  実家はすでに兄が継いでおり頼ることは憚られた。    両親は芽衣子が玉の輿に乗って順風満帆だった頃には 可愛がってもくれ、世話も焼いてくれたのだが そこは親子であっても金の切れ目が縁の切れ目とばかりに 離婚した後は薄情で冷たいものだった。  そんな調子だから無論金銭的援助をしてくれるはずもなく 派遣会社を首になった後は、人生坂道をいとも簡単に転がり落ちて ゆくだけだった。           ◇ ◇ ◇ ◇ ◇   そしてそんな時、元彼の木下直哉と再会したのだ。  芽衣子は再会後の直哉と話した感触で『悪くない』と判断した。 ​ こちらから振ったにも拘らず、今の直哉の話し振りを見ている限り 恨みつらみはなさそうに見える。           直哉は自分に振られた後、ちゃっかりと年の離れた若い今の妻と 結婚していたようだ。  子供も2人いるのだとか。  子供が小さくて奥さんは何かと今は大変なことだろう。  夫に四六時中目を向ける余裕はないはず。   『落としてみせる』 芽衣子は再会したその日にそんな風に考えた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加