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2.❧-3
―――― 今の私には男も金も、そして子供もいないというのに
何もかも手にしている直哉の妻はずるい、ずる過ぎる ――――
◇ ◇ ◇ ◇
そんな身勝手な論法で自分を正当化し、芽衣子は直哉に持ちうる
全ての手法を駆使して猛烈にアプローチをかけた。
若くて遊び慣れていない妻を持つ男を性技で落すのは
赤子の手を捻るように簡単だった。
伊達に男達を渡り歩いてきたわけじゃないってことかな、と
芽衣子は胸の内でうそぶく。
直哉は芽衣子に再会するまで家庭的な妻と可愛い子にも恵まれ
何の不服もない生活を送っていた。
しかし、芽衣子との再会で、自分の妻がひどく野暮ったくて
つまらないと感じるようになってしまった。
木下にとって彼女は好きだったのに別れた相手であり、更に今では
海千山千といえば聞こえは良くないが、まぁ男女の色ごとにおいても
多く経験した熟女となり、はっきり言ってここ数年子育てに忙しい妻との
マンネリ化している夫婦生活に比べると、経験値の高い芽衣子との
メイクラヴの差は比べようもなかった。
それからの直哉は芽衣子の思惑通りその性技に嵌りにはまっていった。
中毒性があって止まらなかった。
気持ちも身体も芽衣子にすっかりやられてしまい、頭の中は常に
芽衣子へと向かうようになっていった。
自制なんていうものを直哉は嘗て持っていたろうか、其れさえも
あやふやで妻や子供達のことはどこか別世界にいるかのように
感じ始めるのだった。
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