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3.❧-4
年が変わり、夫の帰りが遅くなったり、帰って来ない日があったりと
心配していたところ、春頃になると今までやさしかった夫、直哉の雰囲気が
急激に一変していった。
おかしい、と不安に思っていた矢先、ある日会社から帰宅した夫に
由利恵はいきなり別れを切り出された。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夫の直哉とは会社の先輩後輩で入社してすぐに付き合い始め
21才で結婚。
すぐに真里奈ができ、出産間際まで働き退職。
翌年には年子で秀人を妊娠。
子煩悩でやさしい夫が結婚して7年目に豹変してしまった。
私や子供達をやさしい眼差しで見つめていた夫はもはやどこにも
存在しなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
「俺、家出るよ」
「どーして? 」
驚いて私は聞いた。
「好きな女ができた」
「私に何か直すところがあったら言って、直すから。
だから出て行くなんて言わないで! 」
声を振り絞って由利恵は訴えた。
「お前、下手過ぎ! 」
「下手って何がなの? 」
「SEX! 」
「……」
「彼女はとにかく上手い、最高だ。
おまえ、まぐろ、平凡、あきたわ」
『まぐろって? 』
「後で自分で調べてみろよ! 」
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