196人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕が家賃を受け取るのも、今日が最後かぁ」
何気なく呟くと、ロベルトが驚いたような顔をした。
「最後? どういう意味だ?」
「うん? ああ、お祖父ちゃんももう全快したから、今月からは自分で家賃を貰う仕事を半分は再開してるんだ」
「……それは喜ばしいが、この邸宅はジルの管轄外となるという事か?」
「ううん。僕も来月からは、別の仕事をする予定だしね」
「――ジルは、フリッツさんの跡を継いで、大家をするのかと思っていた。そうか……」「ロベルトも、来月から仕事に復帰すると話していたよね?」
「ああ……」
「そうなると、これからは会えないね。でも! お休みの日とか、タイミングがあったら、また話そうね!」
分かれは寂しいが、いつまでも暇というのも困るものだ。それに僕らは、もう良い友人になったと思うので、会おうと思えば会えるはずだ。
「約束だ。必ず会おう。休日は、全部会いたいほどだ」
「大げさだなぁ。うん、約束しよ!」
「ところで、ジルは来月採用試験とすると、仕事は騎士団か?」
「うん」
「どの騎士団の試験を受けるんだ?」
「第五騎士団だよ」
「そうか」
最初のコメントを投稿しよう!