塩評判は当てにならない。

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 長屋から一軒家まで様々な借家があったが、地図と居住者の名簿を貰っていたので、順調に回収は進んだ。外套を着こんでいる俺は、雪を踏みしめつつ、一番最後とした、王都郊外の邸宅の前に立った。  実際には、一番早く、朝にも訪れたのが不在だった為、星が輝き始めた現在、出直した次第である。週休二日制のこの王国で、本日は日曜日であるし、既に時刻は八時である上、邸宅には灯りが点いている。不在とは考え難い。だがこの邸宅の人間は、昨日の日中も不在であったから、迷惑かもしれないとも思ったが、ちょっと遅い時間に声をかけさせてもらう事に決めた。 「すみませーん!」  呼び鈴を何度鳴らしてみても、応答がない。輪っか状のドアの金具を握り、僕は豪快に声をかけた。 「あのー! すみませーん! 夜分遅く申し訳ありませーん! どなたかー!」  その後は直接ノックを繰り返した。手袋ははめているものの、指先が冷たくなってきた。そのまま――十五分。僕は粘って、声をかけ続けた。例えば、入浴中だとか、トイレに入っているとか、そういう事も検討したのだが……最終的に不安になってきた。
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