塩評判は当てにならない。

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 一ヶ月の間に、僕は一度だけ職場見学に向かい、その場で第五騎士団のロルフ団長に、直接そのように聞いてきた。曰く――『一番楽だぞ!』との事だった。その言葉に惹かれ、僕はその場で履歴書を提出してきた。なんでも『第一騎士団のシュヴァーベン団長なんて鬼だからな? 俺のように優しい団長がいる騎士団は最高だぞ?』と、自分でいうタイプで、ロルフ団長は明るそうな人物だった。シュヴァーベンという名はどこかで聞いたなと思ったものの、まぁ第一騎士団は有名だし、新聞で見かけたのかなぁと漠然と思った。  このようにして一ヶ月が過ぎ、三月末が訪れた。  お祖父ちゃんの腰はだいぶ良くなってきたようではあったが、長く歩くのはまだ辛い様子であるし、僕が今月も家賃の回収を代行する事になった。今回は手紙が届いていて、ロベルトさんは仕事の都合で、月末の十五時頃が良いと事前に申告してくれた為、助かった。  お見舞い品のお礼というのも変かもしれないが、僕は冬梨という果物を用意した。お祖父ちゃんも、持って行けと言って笑っていた。 「こんにちはー! 家賃の回収に参りましたー!」
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