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「あ、ロベルトさん! お怪我は大丈夫ですか? これ、念のための魔法薬と、あとはお見舞いのスープです」
僕が持参した品を一瞥してから顔をあげると、ロベルトさんが目を瞠った。それから、ちょっと目を惹く柔和な笑みを浮かべた。
「有難う。上がってくれ」
「いえ、そこまでは! 大丈夫かなぁって思って見に来ただけなので」
「仕事、か?」
「まぁ、そうですね。祖父の代わりに、頑張ります」
「そうか」
「お大事にして下さいね!」
笑顔で告げてから、僕は見舞いの品を渡した。すると優しい眼差しに代わったロベルトさんが、受け取ってから、僕に言った。
「ああ。もうほとんど俺も癒えているんだ。だが、心配した周囲が、完全に傷が塞がるまで休めと煩くてな」
「僕も休んだ方がいいと思うけどなぁ」
「しかし常日頃多忙だと、不意の休みが暇でならない」
「あ、それはすっごく分かります」
「だから、少し話し相手になってくれないか? これは――仕事として、ではなく。ただの俺個人の願いだ」
「僕で良ければ、いくらでも! そういう事なら、お邪魔します」
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