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俺は小さい頃から、物語を紡ぐ音に惹かれていた。時に力強く生きることを訴え、時に哀愁で人を満たすその音に。
音の鳴る道具で物語を奏で、時に言葉をのせ、人を魅了するその存在に惹かれた俺は、いつか自分だけの物語を紡いでみたいと思っていた。
金さえあれば、何かを始めることはそう難しくない。
音楽など少しの腹の足しにもならんと豪語する父親と、宥めるように父親に同意する母親に黙って、俺は貯めていた小遣いで中学の時にようやくそれを手に入れた。
俺が自分で手に入れた初めての楽器。それは、ギターだ。
ピンと張られた弦を自由に操り、色々な音を奏でるその響きにとても魅了されていたのが、それを選んだ理由の一つだ。
とは言っても、まだ幼さを拭えない中学生一人で高額の買い物は危険だと思い、ギターが趣味である友達のお兄さんに連れられて、初めてそれを買いに行ったのを今でも覚えている。
初めて手にしたそれは眩しく輝き、表面はまるで鏡のようで、夢見る少年の顔を映し出す。ずっしりと感じたその重みは、こつこつ貯めた努力の証ではなく、自分という存在を形にしてくれる相棒として、当時の少年は受け止めていた。
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