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少年だった俺が徹兄にギターを教わりながら次に抱いた夢は、音楽という世界に身を預け、沢山の人を惹きつけることだった。
心から慕う世界を、相棒と共に股にかける。
それはきっと、音楽を愛する者なら多くが一度は夢に見たことだろう。音の世界は無限だと信じて止まなかった少年は、幼い自分の可能性に胸を膨らませていた。
もちろん両親は反対した。そんな世界で成功するのは、才能に溢れた一握りの人間だけだ、と。確かにそれは間違いではないかもしれない。でも、努力が才能に勝つという類いの格言をいくつも知っている少年は、例え希望が一本の細く脆い糸だとしても、すがってみたいという気持ちでいっぱいだった。
親に認められなくても、音楽をもっと知り尽くしている徹兄だって、仲間だって、自分を応援してくれている。お前なら出来ると、そう言ってくれている。
だから、少年だった俺は肉親の言うことはただの戯言だと聞く耳持たず、高校卒業と同時に家を飛び出したのだ。
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