2. 進展

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☆ 週に一度、水曜日が定休日だ。その日は保晴は大抵商談にでかける。 販売や買い取りだ。買い取り自体は国内のオークションも利用するが、多くは海外へ、年に2、3度赴き買い付けに行く。 今日は販売だ、都内の会社の役員室の提案に行くことになっていた。 朝、洗濯物を干していた。古い木造の建物だ、ベランダなどはなく、腰高の窓に設えた物干し竿に角ハンガーをかけていると、 「おはようございます!」 隣から元気な挨拶が聞こえる、郁美だ。ちょうど窓を開けたところだ、にこりと微笑み手にしていた角ハンガーを保晴同様物干しざおに掛ける。 「ああ、おはようございます」 保晴が答えると、郁美は再度目を合わせて微笑んだ。 綺麗な笑顔に心が奪われる。 (ああ、そうか、今日は玲ちゃんは学校で……) 部活も終えて夕方に帰宅する。郁美は店が休みの時は、それでも工房に顔を出して職人にあれこれ聞いているようだ。 勉強熱心だと思った、今日もそうするのだろうか。 「あの……郁美さんがよかったら、今日の商談に一緒に来ますか?」 聞けば郁美はきょとんと首を傾げた。 「あ、いえっ、あの、仕事ですからお給料は出しますよ! もしお暇でしたらで! 玲ちゃんが帰ってくるまでには戻れますから!」 なんだかデートの誘いのようだと思いながらも保晴は誘っていた。 「その、郁美さんは勉強熱心ですから……これも勉強かと……」 しどろもどりなりながらも誘うと、郁美の顔がぱあっと明るくなった。 「嬉しいです、お邪魔でなければ行きたいです!」 邪魔ならば最初から誘わない、そう思いながらあと1時間ほどしたら家を出たいと伝える。
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