7. 誕生日プレゼント

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「ぼ、僕は離婚歴があるっ、元妻との間には、君より年上の娘もいてっ」 「そうなんだ、でも離婚してるなら問題ないじゃん」 「そ、そうじゃ、なくて……!」 保晴は本格的に頭を抱えた、玲が本気らしいことはわかった。 「あのね、保晴さん、私、家族が欲しいの」 「──家族──」 たったひとりの家族を失った玲の言葉が胸に突き刺さる。 「なんでふたりの結婚を反対したんだろうって思ってる。そうしたら、今頃保晴さんはお父さんだったのに」 「今からでも遅くないよ、養女になれば」 今は未成年後見人として認められている、それを養女として手続し直せばいいだけだ。 保晴は優しく言ったが、玲は首を左右に振る。 「保晴さんと、新しい家族を作りたい。たくさん子供を産んで、たくさん兄弟がいて、毎日にぎやかに楽しく過ごしたいの」 「……玲ちゃん……」 「ずっと思ってた、これが私が欲しかったプレゼント。女の子が結婚できるの、18歳からなんでしょ? だから、今日お願いしてるの」 母子ふたりきりで過ごしてきた玲らしい思いだと思えた、その相手に自分を選ぶなど──断ろうと思うが、今の玲を突き放すことはできないと焦燥感に駆られる。もし今頑なに嫌がれば、玲を傷つけてしまうのでは──。 「……わかった。僕を選んでくれてありがとう」 言うと玲は嬉しそうに微笑み、すぐさまサインをしてくれとボールペンを差し出す。 そこへ自署しながら思う──自分は初老ともいえる年で、玲の高校は共学だ。今日までずっと願っていたことで周囲が見えていなかったかもしれないが、いつも若い男子といればやはりそちらがいいと思うに違いない、それは真っ当な感覚だ。きっとそのうちに好きな子ができるだろう、そうなったならいつでも離婚すればいい、と。
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