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髪を梳き、顔を近づける。玲は目を閉じそれを待った。
キスは初めてではない。
一番最初は入籍から2か月後に執り行った結婚式だ。山手の教会で挙げた式は、店の者だけが列席してくれた。
それからは毎朝している、こうすると仲良くなれるんだって、と玲が嬉しそうに言って首に腕をかけてくるものだから、保晴は恥ずかし気にキスをしていた。
それは唇が触れるだけの、優しいキスだ。
今は違う、舌が唇を割り入り進入してくるキスは、玲は初体験だった。
(え、嘘……っ、どうしよ……!)
友人の助言を思い出す、相手に任せておけばいいと言っていた。力を抜き、口をやや開けてそのキスを受けた。
保晴の舌先が玲の舌の表面をなぞる、体が熱くなるのを感じた、勝手に呼吸が深くなる。保晴の背中に腕を回せば、保晴も抱きしめてくれる、体が密着するのがこんなにも幸福な気持ちになるのだと、玲は初めて知った。
数分かけたキスが、音を立てて離れる。玲の濡れた唇から大きなため息が漏れる。
(……気持ち、い……)
すっかり上気した顔に、保晴は股間が熱くなるのが止まらない。
(白い肌だ──まだ誰も知らない──)
誰も触れたことも見たこともないその素肌に手を這わせる。
「あ……っ」
玲の口から勝手に声が漏れた、それすら玲はなるように任せた。
(僕が初めての──まさに新雪に踏み入るようだ)
乱暴に蹴散らすも、優しく均すように進むのも、保晴次第──そっと手の平で包むように、玲の乳房に触れた。大きく張りのある乳房は、まだ子供だと思っていたのに十分大人のそれだった。
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