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「生まれたばっかの赤ちゃんでも養子に出来るって聞いた、そういう子でもいいし、ちょっと大きくなった子もいいかな、友達になれるかも。ね、早速相談しようよ」
切り替えの早さに保晴は驚いた、それはやはり自分に子種がないからか──。
「……そうだね。でも、僕は、玲の子供を抱っこしたいな」
「うん? え、離婚するってこと?」
それには玲は思い切りしかめ面になった、そんなことは一切望んでいないし、今の会話の中でそんなことを匂わせた覚えもない。
「僕の精子も全滅じゃないっていってた、ちょっと体外受精も試してみよう」
かかる費用は安くはない、その上玲に至っては体に針を刺して卵子を取り出すのだ、肉体的なダメージがあった。
そしてやはり、何度試しても受精すらしないことがわかった、自分にはもう子を成す力がないのだと痛切にわかる。
いたずらに時間を使ってしまったと反省した、早く玲が望む家族を作りたい。
しかしなおも保晴は玲が産んだ子供を望んだ。
「精子提供してもらおう」
「え、でもそれって、私が、やっくん以外の人と、え、エッチを……っ」
「必ず性交渉が必要なわけじゃない、医者に頼めば体外受精もしてもらえるし」
だが医療行為としてはまだハードルが高いようだ。そこで利用したのが、民間の精子バンクである。
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