10. 穏やかな日々

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「じゃあ、全員、瑞基の部屋に泊まらせます」 光輝はにべもない。 「いや、さすがにあの部屋に大人4人はきついよ?」 間取りとしては1Kだ。郁美と玲と三人で暮らした時期もあったが、それでもギリギリと思える広さだった。 「じゃあホテル取ります」 「いやいや、部屋は余っているし」 今住む大きな洋館は、ゆったりと5部屋もあるのだ。 「光輝くんのお父さんたちは琉唯くんに逢いたいんだろうし」 琉唯の小さな頭を撫でた、琉唯はにこにこと嬉しそうに微笑む。 光輝は隠さない舌打ちをした。 「確かに玲にも会いたがってるしな……親だけはこっちにするか。晴樹は瑞基んとこに押し込んで……」 光輝の呟きを聞きながら、玲は自身の体を抱きしめ身震いしてしまう。 瑞基のことは嫌いなわけではないが、すっかり恐怖が刷り込まれている。幸い最近は恋人ができたようだが、その人を玲に会わせたいなどと言ってくれることすら、ふたりきりになるための口実のような気がして背筋が凍ってしまう。 ふたりの様子に、保晴はため息が出た。 「……まあ、男兄弟は、なかなか難しいけれど」 自身も姉弟がおり、姉からは時折元気かと連絡が来るが、弟はここ何十年も連絡は取りあっていない。 「琉唯くんは、仲良くできるといいねえ」
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