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2019年6月18日(火)-2
(幼稚園に入ればな~。言葉の爆発期がやってきて、ペラペラしゃべれるようになるのかなぁ、と思っていたけど……)
未だにそんな気配はなく。
――そう、息子○市はどうにも言葉の遅れが目立つ子だった。
語彙自体はそれなりに身についていると思うのだが、自分の思いや考え事を文章にするのがまずできない。
声自体は大きいし、簡単な単語なら言えるし、というか叫ぶし、しゃべれないわけではないのだが、どうにも……引っかかるのだ。
『それでもわたしに向かって「おはよう」とか「さようなら」は言えるようになってきていますし、毎日なにかしら伝えようと、がんばって声を出してくれている感じはあるんです』
うーむ、と考え込むわたしを電話口の向こうで察してか、R先生がフォローをしてくれた。
(まぁ確かに、「おうちへかえろー」くらいの短い文ならしゃべれるようになってきてはいるしなぁ……)
それでも意思疎通はまだ完全じゃない。だからこそR先生も、おそらく担任のU先生も悩んでいらっしゃるのだろうなぁというのが伝わってきた。
『怒ってもあまり響いている感じがないので、どう接したらいいのか、わたしたちもまだ手探り状態でして……』
保育のプロですら手探り状態の我が息子って……。
『でもちょっと時間が経ってから「お砂を食べていいんですか?」と聞いてみたら、今度は「×」ってしてくれたので、一応こちらの言うことはわかってくれているんです。普段の生活でも一応聞いてくれているな、という感じはするので、そういう点では心配はないかなと思うのですが~……』
(うぅ、先生方も毎日苦労しているなぁ……)
うちの子がご面倒をおかけして……と相手は電話の向こうなのに、ついへこへこしたくなってくる。
『あ、それに○市君、なにかしら悪さをするときは必ずわたしかU先生のほうをチラッチラッて伺いながら、そ~っと席を立ったりするので、たぶん悪いことをしている自覚はあるんだと思います』
(ああああ、それ絶対に自覚してやっているよね、タチ悪いタイプ!)
『お給食の時間とかよく注意するんですが……』
「あー……フライングして食べちゃたりしているとかですか?」
『それもあるんですが』
(あるんかよ!)
『食べ終わったあと全員が食べ終わるまでお席に座っていてと言っているんですが、○市君は途中で席を立ってニヤニヤしながら、そろ~っと逃げ出したりしちゃって。わたしが追いかけるともっと笑顔になって走って行っちゃったりするので~……』
(確・信・犯・!)
それもう絶対わざとやってるうううう!
先生にかまってもらいたくて、わざとやっているやつぅうううう!
(どんだけ先生にかまってもらいたいんだ、あの息子め……)
『あとは両手を広げてその場でくるくる回りはじめたりとか……楽しそうにやっています』
(本人は楽しそうだが、先生方はひたすら大変そうな図しか浮かんでこない……)
聞いているこっちももれなく白目を剥くわ。
わたしが頭を抱えているのが電話越しでもわかるのか『見ていてすごく飽きないんですけどね。可愛いな~って思います』とフォローしてくれるR先生……。女神……。
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