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第五回詩歌トーナメント戦直前
「え?詩歌トーナメント戦に道具を持ち込んでも良いか?」
私立鳳雛芸術大附属高校三年の小納戸入鹿は怪訝な顔をして新入部員の鳳凰院詩華を見つめた。
と言ってもそのあまりの美貌に見つめ続ける事も憚られた。何も恥ずかしい言葉は発してないのだが徐々に頬が赤らんでくる。
「ま、まぁ、なんだ。小さなモノならいいんじゃないか?」
ゴホンと変なタイミングでわざとらしく咳をすると昔のバンカラと言われた学生服の様な制服にマントと言う出立ちで少し格好を付けて答えた。
とは言え、彼がノスタルジックなコスプレイヤーという訳ではなく、そういう制服なので致し方ないのだが、、、。
「左様ですか」
「い、いやぁ、ちゃんとしたルールはわからないので親父に聞いてみるよ」
彼の父親は新芸術である詩歌の生みの親であるのでルールにも少しは融通をきかせられるのかも知れない。
「しかし、君、いったい何を持ち込もうとしてるんだ?」
「それは、扇子を」
「おうぎ?」
「だめでしょうか?」
「いや、ダメじゃあないが何故そんなものを?」
「落ち着くので」
「ふむ、、、落ち着くのか、なるほど」
なるほどとは言ったもののあまり納得はしてない入鹿ではあった。
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