第五回詩歌トーナメント戦

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礼華は壇上にて観衆を見回すと少し砕けた調子でまるで話しかける様に歌い出した。 「月は好きかな そもそも夜が好きだからね そもそもなんで夜が好きって そりゃあ昼が嫌いだから そもそもなんで昼が嫌いって 人混みが嫌いだからかな? コミュニケーションが下手すぎて エデュケーションもままならない フラストレーションが溜まり過ぎて ひとりオークションもうまくいかない バンクシーみたいに自分の価値を シュレッダーできたらいいのに だから月はだいたい好き もしも自分が月だとしたら ふざけた顔した三日月かな せせら嗤ってる気がするから あははははって 笑いながら 太陽の事なんか気にしない そんな気がするから 好きなのかな」 しばらく沈黙しながら周りをみる礼華。 「極楽寺礼華(ごくらくじらいか)」 突然そう言ってペコリと頭を下げる。 「わぁあああ!」 周りから歓声と拍手が起こった。
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