執着の果てに ～貴方からの解放～

誰か来た？

予定日から２日遅れで産気付いた。
夜中から８時間かけての出産。
正人と彼の両親は、出産に間に合わず、朝、子供と対面した。

彼は無事で良かった、と言い残し仕事があるからと両親と帰っていった。

それから１ヶ月検診まで彼と連絡が取れず、初めての子育てで、極限まで神経をすり減らした優子は、やっとの事で正人のいる家に帰った。

子供を抱いて家に入ったとき、背筋を何かが這いずり回った！
玄関で感じた違和感。
「誰か家に来た？」

優子は思わず正人に聞いた。
「何で？誰も来てないよ」

部屋は優子が里帰りする時のままの状態だった。むしろきれいに掃除がしてあった。
「頑張って掃除した」
彼はそういった。

優子もどうしてそんな風に感じるのか分からず黙る。

荷物を片付け終わって、ホッとした。
しかし、トイレに行って違和感が増した。

些細なこと。

トイレットペーパーが三角形に折られていた。

そして確信した。
「誰が来たの？」
トイレから出て直ぐに正人に確認する。

「なんで？」
「トイレットペーパーが三角形に折られていた。」

「正人は絶対にそんなことしない！」