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現在
「あんたが望んだことだろ?」
私の夫、黒田正人(くろだ まさと)が何の感情も乗せずに言った。
部屋は夕飯の残骸や、割れた皿と水が入っていたであろうコップが床に散乱している。
私優子は、夫の台詞を聞いて時間が止まったように感じていた。
「なんで?私はこんなの望んでない!前と同じ生活に戻りたいだけよ!」
彼から紡ぎ出される冷たい言葉に傷つきながらも、まだ、希望を捨てきれないでいた。
頑張れば元の生活に戻れる。彼もまた、自分を愛してくれるようになるはず。
優子のわずかな望みを砕くように、
「俺は変われない。変わるつもりもない」
「お前を愛することもない」
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