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雪がしんしんと振る中、公園の真ん中で一人の少女がしゃがみこんでいる。
たまたま通りかかった俺は見なかったことにしようと思ったが、服装があまりにも寒そうだったため、思わず立ち止まってしまった。
気温マイナス二度。ダウンジャケットにニット帽、手袋、マフラーを付けてもなお寒いというのに、その少女は薄手の白いブラウスに紺色のスカートで他は何も付けていなかった。
しかもしゃがみこんで振り積もった雪を掻き分けながら何かを探しているみたいだ。
虐待でもされているのかと思い無視しようとしたが、どうしてもできず、結局声をかけてしまった。
「君、こんな寒い時に何してるの?」
「目を探してるの」
と、振り向いた少女の両目はなく、闇のようで、吸い込まれそうな感覚に陥った。
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