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「生理いつ?」
唐突に尋ねられ、え、と声が漏れた。
「妊活アプリみたいなの?
それ一応ダウンロードしたんだけど、
肝心の生理周期が分からないと。
妊娠しやすい日が分からない」
「あ、あの、子供をそんなにすぐに作るの?」
もしかしたら、いつかは、とは考えてはいたけど。
「だって、これはその為の結婚だから。
千花には、子供を産んで貰う為の」
「子供を産む為…」
なに、それ、って腹立つような気持ちはあるけど。
元々、この人との結婚に、愛や絆みたいなものはなく始まった事を思い出した。
それに、御曹司のこの人にとって結婚って、子供を作り、跡取りを作る事を最重視されたものなのかもしれない。
「言いたくなければ、スマホ渡すから、自分で入力して」
そう言って、ジャケットのポケットから取り出したスマホを突き付けられた。
私はそれを受け取り、もうどうでもいいような気持ちで、それを打ち込む。
そして、それを突き返した。
「…明後日が排卵日なのか」
そう言って、こちらを見られて、なんとも言えない羞恥心を覚えた。
「じゃあ、今日辺り、子供を作る為にセックスしないと」
そう言われ、逃げ出したくなるけど。
そうさせないように、綾知さんは私の腕を掴んだ。
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