夢の匂い

2/2
前へ
/22ページ
次へ
『何が好き?』 「嫌いな物はないので、なんでもいいです」 『そうか。好き嫌いないなんて偉いな』 なんだか子供扱いされてるようでくすぐったいのに、心地いい。 「はぁ…普通に定食がいいです」 『了解。うまいとこあるんだ』 俺たちは会社近くの寂れた定食屋へと入った。 外観とは打って変わってサラリーマンで溢れかえってる。 その中でも店主はちゃんと顔を見て声をかける。 【よぉ、きお兄ちゃん。見つけたのか?上空いてるよ】 『ふふ、ありがとう、いつものふたつね』 【あいよ】 “きお兄ちゃん“って言った?まさか…な… そして彼は階段を上がりながら俺に声をかける。 『勝手に頼んだけど、旨いから』 「ありがと…ございます…」 『まず、自己紹介。俺は営業第二課課長の森屋だ』 「え…俺は、総務課室長の香山です…」 『総務か…通りで社内では会わないわけだ。香山室長、よろしくね』 「はい、森屋課長こちらこそよろしくお願いします」 【お待たせ、こりゃまた綺麗な男だな。あんたがムキになって探してたわけだ】 店主が盆を持って二階に上がってきた。 『余計なこと、言わないでくださいよ』 【へいへい、邪魔者は消えるんでごゆっくり】 『全く…ごめん、気にしないで。頂こうか』 「あ…はい…頂きます…うわぁ、旨!」 『だろう?気に入ったようで嬉しいよ。ここに夕食もお世話になってるんだ』
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加