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『何が好き?』
「嫌いな物はないので、なんでもいいです」
『そうか。好き嫌いないなんて偉いな』
なんだか子供扱いされてるようでくすぐったいのに、心地いい。
「はぁ…普通に定食がいいです」
『了解。うまいとこあるんだ』
俺たちは会社近くの寂れた定食屋へと入った。
外観とは打って変わってサラリーマンで溢れかえってる。
その中でも店主はちゃんと顔を見て声をかける。
【よぉ、きお兄ちゃん。見つけたのか?上空いてるよ】
『ふふ、ありがとう、いつものふたつね』
【あいよ】
“きお兄ちゃん“って言った?まさか…な…
そして彼は階段を上がりながら俺に声をかける。
『勝手に頼んだけど、旨いから』
「ありがと…ございます…」
『まず、自己紹介。俺は営業第二課課長の森屋だ』
「え…俺は、総務課室長の香山です…」
『総務か…通りで社内では会わないわけだ。香山室長、よろしくね』
「はい、森屋課長こちらこそよろしくお願いします」
【お待たせ、こりゃまた綺麗な男だな。あんたがムキになって探してたわけだ】
店主が盆を持って二階に上がってきた。
『余計なこと、言わないでくださいよ』
【へいへい、邪魔者は消えるんでごゆっくり】
『全く…ごめん、気にしないで。頂こうか』
「あ…はい…頂きます…うわぁ、旨!」
『だろう?気に入ったようで嬉しいよ。ここに夕食もお世話になってるんだ』
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