22人が本棚に入れています
本棚に追加
お兄ちゃん
「そうなんですね?俺も来ようかな?」
『じゃあ、ぜひ一緒に。酒も美味いんだ』
「はい、誘ってください」
懐かしいような耳触りのいい声、人工的ではない爽やかな香り。
この人はとても居心地がいい。
『誘いたいのはやまやまだが、彼女や奥さんはいないの?』
「ブッ!奥さんって…今は彼女もいません」
『今はって事はいた事あるんだね?』
「そりゃありますよ…でもなぜか上手くいかなくて…それより課長はどうなんですか?そんなイケメンが男と飲みになんて」
『俺も彼女も嫁もいない…と言うか欲しくない。欲しいのはたったひとりだけなんだ。多分…見つけた』
驚いた。こんなイケメンでも手に入らない恋があるなんて。
「多分見つけた?顔知らないんですか?でもなんか羨ましいです…俺もそんな恋がしてみたいって、なんで男ふたりで恋バナしてんですか!」
『いいだろ?別に、俺は楽しいよ?君は欲しくて堪らないって人に会ったことないの?』
なぜかふと…カオナシさんが頭をよぎった。
「欲しいって言うか、また会いたい?って思う人はいます」
『へぇ、どんな人なの?』
「夢で会える人…なんです。でも顔がはっきり見えなくて…って乙女みたいで恥ずかしい」
『そんな事ないよ?その人はきっと君の運命の人なんだろうな。もう会えてるかも』
「運命って…その人多分男性です。お兄ちゃんって呼んでたから」
最初のコメントを投稿しよう!