お兄ちゃん

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お兄ちゃん

「そうなんですね?俺も来ようかな?」 『じゃあ、ぜひ一緒に。酒も美味いんだ』 「はい、誘ってください」 懐かしいような耳触りのいい声、人工的ではない爽やかな香り。 この人はとても居心地がいい。 『誘いたいのはやまやまだが、彼女や奥さんはいないの?』 「ブッ!奥さんって…今は彼女もいません」 『今はって事はいた事あるんだね?』 「そりゃありますよ…でもなぜか上手くいかなくて…それより課長はどうなんですか?そんなイケメンが男と飲みになんて」 『俺も彼女も嫁もいない…と言うか欲しくない。欲しいのはたったひとりだけなんだ。多分…見つけた』 驚いた。こんなイケメンでも手に入らない恋があるなんて。 「多分見つけた?顔知らないんですか?でもなんか羨ましいです…俺もそんな恋がしてみたいって、なんで男ふたりで恋バナしてんですか!」 『いいだろ?別に、俺は楽しいよ?君は欲しくて堪らないって人に会ったことないの?』 なぜかふと…カオナシさんが頭をよぎった。 「欲しいって言うか、また会いたい?って思う人はいます」 『へぇ、どんな人なの?』 「夢で会える人…なんです。でも顔がはっきり見えなくて…って乙女みたいで恥ずかしい」 『そんな事ないよ?その人はきっと君の運命の人なんだろうな。もう会えてるかも』 「運命って…その人多分男性です。お兄ちゃんって呼んでたから」
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