カオナシさん

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カオナシさん

『君は性別なんて気にするのかい?【好き同士なら結婚できる】じゃなかったっけ?』 「へ?いや、それはそうですけど…課長は何ともないんですか?その…男同士って」 『俺は、性別なんて関係ない。好きなもんは好き、それだけだ。それに俺はその男性と結婚の約束もしている』 ふふふ…と優しく笑う課長から目が離せなかった。 なにか予感は有ったが、確信は持てなかった。 だから黙っていた。 それから俺たちはたまに昼休憩を一緒に過ごすようになった。 課長が総務室まで迎えに来るもんだから、総務の女の子たちが騒ぎ立てる。 『ごめんね、香山室長を借りるよ』 【室長…森屋課長ってめちゃくちゃモテるんですよ〜女の子達に恨まれないように気をつけて下さい!私たちはおふたりがそうなっても応援しますから!室長美人だから萌えます〜】 「萌えって…バカな事言ってないで…課長とはそんなんじゃない!君たちもランチに行きなさい」 【やーだー、室長…顔真っ赤です!かーわいー】 課長のせいで女の子達に揶揄われるし。 飲みはまだ行けていない。お互い仕事が忙しく、時間が合わない。 今日は会社近くの【cafe Thistle】でランチ。 コーヒーが美味しくて有名なカフェだ。 「もう、課長がわざわざ迎えに来るから…総務の子達に勘違いされてますよ?変な噂がたったら困るでしょう?」 『ワザとだよ。君がモテるから牽制してるんだ。むしろ噂になりたいぐらいだ。君を狙ってるのは女の子だけじゃない。営業の飲み会で君ならイケると言うふざけた野獣どもがいっぱいいたんだ』 「は…はは…課長に迷惑がかからないなら…いいんです」
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