カオナシさん

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『香山くん、見て?カウンターの中にいるオーナーとあそこに座ってる男性…カップルなんだ』 確かに…イチャついてる訳じゃないのに、ふたりの間には同じ優しくて温かい空気が流れてる。 あ…見つめあって、微笑み合ってる… いいな…幸せそう。 『幸せそうだろ?』 「そうですね、あのふたりを見てると性別なんて関係ないって感じます」 『もうすぐ結婚するそうだよ』 オーナーがこっちを見て、手を挙げ挨拶をしてくれる。 そのお相手もそれに気づいて会釈してくれる。 「素敵なふたり…」 『だな…俺もああなりたいと思ってはここに通ってる』 俺たちは黙って食後のコーヒーを楽しむ。 穏やかで優しい時間。 『香山くん、飲みの約束なんだが…』 「いいんですよ?お互い忙しいのはよくわかってるでしょう?」 『今週末…外で会わないか?予定が無ければ…』 「いいですよ、土曜とかにします?」 『ああ、また連絡するよ』 ふたりで会社に戻り、ひとりになって放心する。 デートだ…って違うだろ!違う違う! 【し・つ・ちょ!なに赤ら顔で百面相してるんですか?色気出すぎです!まさか森屋課長となんかありました?ヤダヤダ〜】 「丸山くん?明日期限のアレ終わったの?」 【キャー!すぐやりまーす!】 まったく…明後日か。絶対に仕事終わらせて…って浮かれてる。ただ出かけるだけだ。
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