波乱万丈な日々とお姫様のティアラ

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 思いがけない人物がいることに、驚きを覚えた。俺と彼はほとんど喋らないし、仲もいいわけではない。別に悪くはないけれど、、最近は彼の存在を失礼ながら同じ教室にいるのに忘れていた。モニターの向こうには、エントランスの外側にいるイケメンな小川君が映っている。 「はい?」  仕方なく応答する。家はおそらく、クラスメイトの誰かに聞いたのだろう。 『その声は篠原君? お土産持ってきたから開けてくれるかい?』 「え? あぁ、うん」  想定外の出来事に、生ぬるい言葉が出た。エントランスの自動ドアの解錠ボタンを押した。すぐに小川君はやって来た。今度は玄関先のインターホンが鳴り、そのままドアを開けて、彼を中に入れた。
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