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………………。結局また、胸がどんよりとした思いに支配される。
そうだ。通勤・退勤時の暇つぶしとして持ち歩いているタブレットを取り出して、次にすれ違った人を殴ってみようか。角もあるし、それなりに固い。当たり所が良ければ出血するかもしれないし、そこを殴り続ければどんどん傷口は開いて大量の血が流れるかもしれない。そうしたら、その人は失血死して、俺は殺人鬼。そこから捕まるか逃げ続けるかは分からないが、それもそれで良いのかもしれない。俺一人の人生だ。俺がどうなろうが、世間はどうでも良いだろう。今朝のニュースを聞いた時の俺と同じ、頭に浮かぶ感想は他人事だ。
無茶苦茶で自暴自棄な計画は自宅に辿り着くと同時に、少しの喪失感を残して消え去った。今日はクリスマスだからか、彼女がいない現実を嫌と言うほど痛感してしまう。こんな日は早々に寝るのが良いだろう。食欲も大して無いし、晩御飯を食べずに寝てしまおうか。きっと明日も今日と同じ、変わらない憂鬱な日だ。食事をしようがしまいが、この喪失感はどうせ居続ける、今までと変わらず俺の中に残り続ける。そんなことを考えながらスーツを脱ぎ、ふとダイニングのテーブルに目を向ける。
そして、息が止まった。
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