影武者

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影武者

幼少期から、とても好きだった女の子は、姉妹だった。 姉妹といっても、瓜二つの美人姉妹。 大人になった今も全く見分けがつかない。 合コンでまさかその二人と会うとは思いもよらなかった。 「昔、よく私たち二人のこと、影武者って呼んでたわよね」 「そうそう 思い出したわ ふざけてたんでしょ」 「何で黙ってるの」 「そうそう 昔はもっとおしゃべりだったじゃない」 「懐かしいわ もっと喋りたいから、この後出ない?」 「積もる話がいっぱいあるから、この後抜け出さない?」 「なんで、黙っているの?」 「今日は何だかおとなしいわね」 「いこ」 「ね いこ」 「れ いこ」 「いーこ」 合コンパーティ会場を出た彼女らを照らす街灯は、影を間違いなく4つ、道路に映し出し、昔話でホラを吹く。           
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