ホットマシュマロミルクティーと冬の出会い

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キッチンから甘い匂いが漂う。 アルヴィン伯爵はその匂いに釣られたのか、首をひょいと上げて紅の方を見る。しかし、少女の首が上がることは一向にない。 アルヴィン伯爵も不思議に思ったのか、それともただの気まぐれか少女忍び寄り、そのまま少女の膝の上に陣取ってしまった。 「おやアルヴィン伯爵、今日は随分と珍しいですね。」 完成した紅茶と共に紅が、愛猫声をかける。 アルヴィン伯爵はひとつ、にゃあと声を上げそのまま丸くなり寝てしまった。 「ここまで心を許してるお客様は始めてですね。膝の上に乗るなんて、今まで私以外にしたことがなかったのに。」 こくり、少女はまたひとつ頷く。 猫が飛び乗っても特に驚く様子がなかったが、その手は優しく膝の上で悠々自適に眠る猫を撫でていた。 紅はその様子を微笑ましく見ながら、そっと1杯の『あなたの紅茶』を提供する。 「こちら、ホットマシュマロミルクティーになります。」 出てきたのは、外の振り積もった雪のように真っ白なマシュマロで覆われたミルクティーだった。 マシュマロの甘い香りに、シナモンのスパイシーな香りが合わさっていた。 「今回は、アッサムと牛乳を使いミルクティーを作りシナモンスティックでシナモンの風味漬けをしました。さらに、自家製の紅茶マシュマロをトッピングしました。マシュマロを溶かし混ぜるようにしてお飲みください。」
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