狂った天使の選択肢

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狂った天使の選択肢

 深呼吸をして、よし、と小さく呟く。集中は完璧。今日も自分はデキる男だ。  シミュレーターの操縦桿を握り、いざ起動。目の前に、シャッターの降りた車庫をイメージした映像が映し出される。 『パイロットコード認識。シミュレーション、起動しました。ミッションを選択してください』 「2251、アラスカ北方戦線に設定」 『了解しました。初期配置、ランダム設定します』  AIの声と共に、画面の端にマップが表示される。黒いレーダー画面を見て、僕は眉をひそめた。よりにもよって、左翼の端の端。2251に現実にあったアラスカ北方戦線では、真っ先に大量の空母とエンジェリック・アサシン・フロートが撃墜されたあたりではないか。最後の調整のつもりでシミュレーターを起動したというのに――まったく、今日のAIはサディストであるらしい。 ――ま、どんな配置であっても仕事するのが僕らの仕事だもんな。やるしかないか。  戦況をひっくり返し、敵機を殲滅するか撤退に追い込むこと。それが今回のミッションのクリア条件だ。 「しゃーねー、やってやるよ」  ミッション開始のカウントが始まる。5、4、3、2、1――。 「“AAF・サジタリウス”!ケビン・アロウス、出撃!」
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