第十章・妖の逆襲

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「他にすることなんぞ、何もなかったからじゃ」 小豆洗いは、「だから、何だ」と言いたげな表情だ。 「お主が本来ここですべきこと。それは、過去の過ちを悔い改め、後世へ活かすことじゃったんだが……伝わってなかったようじゃな」 「過去の過ちを悔い改める……?」 小豆洗いは初耳だった。 突然この川原に戻され、気づいたら妖となったからだ。誰にも存在を知られることなく、ずっと一人で過ごしてきた。夕莉に声をかけられるまでは。 「この静かで空気もよい場所でなら、可能であったろうに」 玉乃於は残念そうだ。 「それと、外に出られんのは……何が関係あるのじゃ」 「むむ、ワシのいうことがまだわからぬか。お主は生き返った訳ではないのじゃぞ。この場所で悔い改めるためだけに、妖へ姿を変えただけじゃぞ。好き勝手に出歩けるわけがなかろうに」
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