出逢い

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出逢い

 瀬戸(セト) (ハジメ)、27歳。  αの相手を専門にする、デリヘルで働くΩ。  番はいない、恋人も想う相手も。  妊娠の出来ない、出来損ないで使い捨てのΩだ。 「ハジメくん?」  一言、名前を呼ばれてはっとなった。 ベッドに座ったまま若干俯いていた俺の顔を覗き込んだ男は、いつも俺を指名するαの男だ。 「体調悪いのかな?大丈夫?」  ここで体調が悪いと言ったって、此奴はきっと俺を無理矢理に抱くのだろう。 「いや、大丈夫だよ。…それよりも、早く」  男の首に手を回して、自分の身体ごとベッドに押し倒す。  ふわりと匂わせた甘い匂い…Ω特有のフェロモンの匂い。  目の前のαが何かを言った気がするが、耳には入っていなかった、どうせクサイ台詞だろう。  嗚呼、こんな時間早く終わってしまえ。
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