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その夜、Tさんは怖くて自分の部屋に戻ることはできず、祖父の寝室で眠った。
一緒に寝てくれた祖父は、あの真っ黒いなにかについて、まったく説明してくれなかったそうだ。
しかし、次の日。
Tさんは近所の人たちの噂話を盗み聞きして、昨夜、Tさんの家の近くの山で、遭難して亡くなった人がいたことを知った。
そのことと、真っ黒いなにかの関連性はわからない。
ただ、それからもTさんはときどき、あの雪を踏みしめる足音と、爪で雨戸を引っ掻くような音を聞いたという。
後で調べてみると、その夜には決まって、近くの山で誰かが亡くなっていたのだそうだ。
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