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好きなのに好きって言えないなんて、お互いほんとかわいかったな。
そしてユウナは、中学時代、ケイスケ達とのグループ発表で調べた短歌を思い出した。
~ふるさとの 雪は花とぞ 降り積もる ながむる我も 思ひ消えつつ~
中学生にはマニアック過ぎて、調べようがなかったこの短歌。
ユウナは大学で国文学科に進み、好きな和歌の意味や解釈を述べるという課題が出た時にこの歌を選び、レポートをまとめ上げたのだった。
古い思い出の地で、花のように積もる雪を見ながら、昔の恋を思い出して切ない気持ちになるような意味だったな。
…雪が消えるように、私の気持ちも消えていくんだっけ。
そんなこともあったよね。
私もタダっちょも大人になったね。
それぞれ、幸せに生きようね。どうか元気でね。
バスは駅に到着し、白い世界から喧噪の現実に再び降り立ち、ユウナはふるさとを後にした。
おわり。
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