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第1話
晩秋というには寒さがしみる、11月半ばの木曜日。
見渡す限り鈍色の空が続いている、古い大きな街。
午後3時を過ぎ、制服を着た若者達が続々とバスターミナルから駅へと流れて、目の前を通り過ぎていく。
仲尾ユウナは、かつて自分が着ていた制服をまとったその群れに目を細めた。
3か月ぶりに降り立ったふるさと。
そして足早に、駅を出てバス乗り場へと向かった。
「寒っ…。」
心の声が反射的に漏れた。
お盆に来た時は暑かったのに、やっぱりこっちは寒いな…。
刺すような寒さに息をのみ、肩をすくめて古いバスに乗り込んだ。
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